AEAJ認定アロマセラピーインストラクターの諸橋直子です。
前回に引き続き、「犬用アロマスプレーの作り方」について解説していきます。
前回の記事では、以下のように書きました。
ブラッシングに使用するのであれば、ある程度ブラシ通りを滑らかにしたい、という要望があるはずです。
また、スプレー内に均一に精油を拡散することも大事なポイントです。
精油は基本的に「油」です。
なのでそのままでは水には溶けないですし、良いスプレーの条件は「精油成分が均質に水に混じり合っていること」です。
・ブラシ通りを滑らかに
・精油を均質に水に混ぜるには?
この2つをどうクリアしていくか?について、次回解説していきます。
この2つの問題について、具体的な解決方法をお話ししていきます。
アロマスプレーに加える、2つの基材
問題解決のために使用する2つの基材について、紹介していきます。
ブラシ通りを滑らかにするには? | グリセリン
摩擦を少なくするために、オプション基材をプラスすることでブラシ通りが良くなります。
初心者の方におすすめなのは「グリセリン」です。
「グリセリン」はパーム油から作られる、無力透明の液体です。匂いもありません。保湿効果が非常に高く、乾燥によるひび割れの治療にも用いられます。
指定医療部外品として、ドラッグストアで気軽に購入できます。100mlで価格は500円前後です。
以下の製品は私も利用しているものです。ご紹介しておきますね。
余談ですが、「グリセリン」はギリシャ語で「甘い」を意味するglykys(グリキス)が由来になっています。実際になめると、甘いです。万一、犬が舐めてしまったとしてもまったく影響がない基材ですので、犬用スプレーにも、安心して使用できます。
そして、このグリセリンをほんの少量、スプレーに混ぜるだけでスプレーの保湿効果が高まります。ブラシ通りも良くなります。
注意点としては、少量で十分保湿効果があるので入れすぎないことです。あまり多く入れると、スプレー自体がベタベタとした感触になります。
様子を見ながら少しずつ加えて行くことがポイントです。
作る際は100mlのスプレーに対し、まずは1~2滴を加えることからスタートするのがおすすめです。
精油を均質に水に混ぜるには? | 無水エタノール
精油は油です。スプレーの本体は水。この2つをできるだけ、均質に混ぜたい。
この、本来混じり合わない2つを混ぜ合わせるのに使用するのが
「無水エタノール」
です。
「無水エタノール」はアルコールの一種です。
手指の消毒で、日常的に接する機会も多いアルコールですが「無水エタノール」はエタノール濃度99.5%以上のものを指します。
似たような製品に「消毒用エタノール」があります。これはエタノール濃度76.9~81.4%のもの。
アロマセラピーの基材として用いるのは「無水エタノール」の方です。
いずれもドラアッグストアに並んで売られているため、購入時に
「あれ?どっち買えばいいの?」
と迷う場合があります。
(実際に私は、はじめて買いに行った際迷ってしまいました。なので、ドラッグストアの薬剤師さんに質問して、丁寧に教えていただきました)
なので、初心者の方は間違えないように注意の上、「無水エタノール」を購入するようにしてください。
100mlのスプレーを作る際、無水エタノール10mlに対し、水90mlの比率を基本とします。
スプレー容器に無水エタノールを入れ、そこに精油を加え手早く混ぜます。混ざったら水を加えて、更に良く混ぜます。
これで出来上がり、ですが使用前にもよく振ることが大切です。
ちなみに、「犬にアルコールを使うのは抵抗がある」という方は「無水エタノール」を使わなくてもOKです。
ただし、使用前にスプレーを「よく振る!」というのは忘れずに行ってください。無水エタノールを加えていない分、精油と水がより分離しやすいためです。
香りも使用感も自由自在、犬とアロマセラピーを楽しもう
私自身はアロマセラピーインストラクターという仕事上、様々な精油に触れる機会があります。
精油の世界は実に奥深く、香りの種類も多様です。それぞれの精油が持つ効能も違います。
こうした豊かな精油の恩恵を、自分だけが享受しているのは、なんだかもったいない…ポイントを押さえれば、犬と一緒に楽しめるのに。
そんな思いが、私自身の「ドッグアロマセラピー」出発点です。
犬は精油に対する代謝経路が人間と近いため、刺激の強い成分を含むものを除けば、十分人と一緒に楽しめます。
*猫はその点、全く違うので基本的にアロマセラピーはおすすめしません。犬以外の動物についても同様です。このWEB記事上の情報は、あくまで人と犬が安全に楽しむためのものですのでご理解の上、活用してください。
ちょっとした不調や緊張感を和らげる、良い香りに包まれてリラックスする、こうした家庭でできる、手軽な「セルフケア」として、多くの飼い主さんに、犬のアロマセラピーを知っていただければ幸いです。
次号では、犬と楽しむアロマセラピー「アロマの肉球クリーム」についてお話をします。どうぞお楽しみに。