「アロマセラピー」は植物の香り成分を使った自然療法
犬におすすめの精油をご紹介するにあたり、はじめに「アロマセラピー」とは何か?という基本からお話します。
以下は、私自身が保有する「アロマテラピーインストラクター」資格の認定団体であるAEAJ(公益社団法人 日本アロマ環境協会)による定義です。
アロマテラピーは、植物から抽出した香り成分である「精油(エッセンシャルオイル)」を使って、
出典:アロマテラピーとは | AEAJ HP https://www.aromakankyo.or.jp/basics/introduction/
美と健康に役立てていく自然療法です。
アロマテラピーの目的
●心と身体のリラックスやリフレッシュを促す
●心と身体の健康を保ち、豊かな毎日を過ごす
●心と身体のバランスを整え、本来の美しさを引き出す
植物は自分自身の体を守るため、環境への適応のためなどの目的で、自ら様々な物質を作り出します。
例えば、病気から身を守るための抗菌物質だったり、花粉を遠くへ運んでもらうために、昆虫を引き寄せるもの、
逆に害虫を遠ざけるものなど、様々な物質を作り出します。
それらの多くは、芳香性を持ち、植物の花や葉、茎、根、樹脂など様々な部位に蓄えられます。
この成分を集めて、抽出したものをアロマセラピーでは「精油(エッセンシャルオイル)」と呼びます。
この「精油」の香りを嗅ぐことで、その刺激が脳へと伝わり私たちヒト、そして犬の肉体面、精神面へと働きかけます。
「嗅覚の鋭い犬に、アロマセラピーを行っても大丈夫なの?」
「犬は人と比べて数千倍から1億倍嗅覚が鋭いって聞くけど、そんな犬にアロマなんて、香りが強く感じられすぎて危険なのでは?」
こんな疑問もよく聞かれます。これは「鋭い」の意味が誤解されているために起こる疑問です。
犬の嗅覚の鋭さは、
- ヒトより嗅ぎ分けられる匂いの種類が多い
- 極微量の匂いでも感知できる
という種類のものです。
ある香りを、人間の1億倍強く感じている、という意味ではありません。
少量の香り成分でも感知できる犬には、アロマセラピーはむしろ向いているとも言えます。
ただし、「使わない方が良い精油」もある。
そうは言うものの、植物の世界は多様で作る出される精油も様々です。
中には、刺激が強く動物への使用に向かない精油もあります。
これについては、別記事にまとめてあるので犬のアロマに興味のある方は下記を参考にしてください。
これらの精油はおおむね、
- 皮膚刺激が強い
- 神経毒性も持つ成分を多く含有
に分けられます。
犬におすすめの精油5種
さてここで、リラックスや犬の気持ちを鎮めるのに適した精油を5種類をご紹介します。
- 真正ラベンダー
- ローズ・オットー
- ローマン・カモミール
- クラリセージ
- フランキンセンス
これらの精油はどれも素晴らしいものですが、特に初心者の方におすすめなのが
- 真正ラベンダー
- ローズ・オットー
の2種類です。
初心者はまず「ラベンダー」
数ある精油の仲で、特に初心者の方におすすめなのは「真正ラベンダー」です。
ラベンダーの甘く、爽やかな香りは犬の鎮静、リラクゼーションに向いています。
ラベンダーに含まれる「酢酸リナリル」「リナロール」は共に鎮静作用を持つ成分です。
真正ラベンダーの場合、この成分のみで精油の約7割を占めるものもあります。
成分の7割が鎮静作用を持つ成分なので
「ラベンダーの香りを嗅ぐと、リラックスできる」
は気分だけも問題ではなく、実際にそうした成分の影響を受けている、と考えられます。
また、ラベンダーは殺菌作用を持つ成分を含むため、犬のボディケアにも最適です。
我が家には16歳の老犬がいますが、毎朝、ラベンダー精油を使ったミストで顔や全身を拭いています。
老犬になると、滑りやすい風呂場で長時間立っているのが厳しいため、現在はシャンプーではなく「拭き取り」で体を清潔にしています。
香りも良いですし、犬自身も心地よく受け入れてくれるのでラベンダーは、我が家で最も重宝する精油のひとつです。
最後に大事なポイントをお伝えします。
ラベンダー精油にはいくつか種類がありますが、お店で購入する際は
真正ラベンダー(:Lavandula angustifolia または Lavandula officinalis)
を選ぶようにしてください。
同じラベンダーと表記されるものでも製品によっては品種が異なります。中には犬への使用に向かないものもあります(例:ラベンダー・ストエカス。動物への使用は不向きです)。
一度は試してほしい。花の女王「ローズ・オットー」
アロマセラピーで用いられるのは芳香性のバラで、ブルガリアやモロッコの「ローズ・オットー(ダマスク・ローズ)」が有名です。
いずれの産地でも、早朝に開花直前のバラを収穫し、丁寧に抽出されます。
伝統的な水蒸気蒸留法による抽出の場合、1滴のローズ精油を得るのに必要なバラの花は50〜100個と言われます。
その分、大変高価な精油で水蒸気蒸留法による抽出だと1mlで6,600円ほど。
より多くの精油が取れる溶剤抽出法で1ml2,750円ほどですが、いずれにせよ、高価な精油であることには変わりありません。
そのかわり、甘くフレッシュな香りは犬の深いリラクゼーション、スキンケアにも素晴らしい効果を発揮します。
人間向けの化粧品や入浴剤の材料として、根強い人気をもつのも頷ける香りです。
犬が喜ぶ香りで、アロママッサージをしてみよう。
ここまで「犬のマッサージ」「アロマテラピー」について、基本事項を解説してきました。
マッサージは犬にとって心地よく、楽しいものです。
そこに、緊張をほぐし、ストレスを和らげ安心感を与えるツールとして「香り」を上手に活用していただければと思います。