Office Guriの諸橋直子です。AEAJ認定アロマテラピーインストラクターです。
今回の記事では「なぜ、香りで犬が健康になれるの?」と言う仕組みの話をしていこう思います。
嗅覚:香りを「感じる」ってなんだろう?
前回の記事では、言語を介さない「嗅覚」と言う感覚を通して、犬の不安や問題行動を減らせる可能性について少し触れました。
「でもどうして香りを通して、犬の興奮がおさまったり、無駄吠えが減るんですか?そこのところがちょっと不思議です」
そう感じた方も多いはずです。
何故、香りが「神経の興奮を鎮める」「不安を和らげる」などの変化を犬にもたらすのでしょうか?
実はこの仕組みを理解することが「アロマセラピーで犬を健康にする」上での重要ポイントになります。
そのためこの記事で「犬の脳に香りがもたらす仕組み」の基本を、ぜひ理解してください。
匂い物質は「化学信号」→「電気信号」に変えられて「脳」に届く
美味しそうなコーヒーの匂い、花の香りなど私たちの周りには「匂い」が満ちています。
ではこの普段感じる「におい」の正体は一体何なのでしょうか?
実は匂いをもたらすのは、目に見えないほど小さな揮発性の小さな化学物質です。揮発性というのは「水などの液体がどのくらい蒸発しやすいか?」を表す言葉です。
例えば、我が家の庭にはラベンダーは今、花まっさかりですが側に寄るだけでとても良い香りがします。
これはラベンダーに含まれる、芳香性の化学物質が空気中に漂っているからです。
その物質が私たちの鼻腔(鼻の奥にある空洞スペース)に届き、そこにある「嗅細胞」にキャッチされます。香りをキャッチした「嗅細胞」は興奮し、その刺激を「電気信号」に変えます。
ちなみにこの「嗅細胞」の数。人は数百万個に対し、犬は約2億個程度です。
犬の方が桁違いに「嗅細胞」を多く持っているため、匂いに対しては鋭い感覚を持っていると言えます。
この鋭さは「少量の匂いでも逃さずキャッチできる=感度の良さ」を表します。
空港で活躍する麻薬探知犬や、事件解決に協力する警察犬は、この「匂いをキャッチする感度の良さ」を生かした犬の職業です。
香りの信号は「大脳辺縁系」へ
「嗅細胞」で電気信号に変えられた「匂いの情報」は直接脳の「大脳辺縁系」と言う場所に届きます。
「大脳辺縁系」は「感情」「記憶」「睡眠欲」「自律神経」など「本能的な機能」を司る場所。
ここでも人と犬を比べてみると、犬はこの「大脳辺縁系」が人より発達しています。逆に人は「新皮質」と呼ばれる「言語」や「論理的思考」「分析」などを司る部分が発達しています。
「犬は本能的な部分が強い」
「人は合理的、分析的思考や言語を操ることに長けている」
私たちと犬では、こんな違いがあるんですね。
まとめ
「匂いは嗅細胞を通して電気信号となり、大脳辺縁系に素早く届く」
これがシンプルな、香りを感じるルートです。
このルートを使い、匂いの刺激が素早く「大脳辺縁系」に届くことで、犬や私たちの
- 感情
- 自律神経
- 睡眠
- 内分泌系(ホルモン)
に対し、好ましい影響を与えることができるのです。
これが「香りで犬を健康にする」基本的な仕組みです。